2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『男の涙 女の涙』 石田衣良/選

ぼくたちはいつも、もっと速くもっと賢くと生き急がされているけれど、 そんなときこそ心のおもてをうるおす涙の力を思いだしてほしい。 生きることの重み、どうしようもない切なさを描く名作9編。 ・ 団 鬼六 「瘋癲の果て さくら昇天」 ・ 眉村 卓 「話を…

『ニート』 絲山秋子

どうでもいいって言ったら、この世の中本当に何もかもどうでもいいわけで、 それがキミの思想そのものでもあった―――。 洗練と節度を極めた文章からあふれ出す、切なくも甘やかな感情。 川端康成文学賞受賞、気鋭の作家・絲山秋子が切り取った現代の生のかた…

『指輪をはめたい』 伊藤たかみ

前の彼女に振られてから、30歳になるまでに結婚して見返してやるのだと誓っていた僕。 指輪も買った。誕生日も近い。 しかし、転んで頭を打ち、いったい誰に プロポーズしようとしていたのか肝心の記憶だけを失ってしまう。 僕の本当の相手は誰? 大人になり…

『君を乗せる舟』 宇江佐真理

伊三次が仕える不破友之進の息子、龍之介が元服して見習い同心に。 同じ頃、江戸の町には乱暴狼藉を繰り返す無頼派の影が…。 江戸の町をさわやかな春風が吹きぬける。 龍之進の失恋、作蔵の死 泣けました(T_T) 伊与太の病気もあったし、なんだか切ないお…

『真鶴』 川上弘美

失踪した夫の日記には、ただ一言「真鶴」と記されていた。 不在の夫を思いつつ、恋人と付き合う京。 「存在とは何か」を問う傑作長篇。 ミステリーっぽい作品なのかなって思って読み始めたのですが ちょっと違っていました。 やっぱりこの作者さん独特のフワ…

『生きて行く私』 宇野千代

明治、大正、昭和、平成と生き抜いてきた女流作家が、波乱の人生行路を率直に綴る。 山口県岩国の生家と父母の記憶から書き起こし、小学校代用教員の時の恋と初体験、 いとことのはじめての結婚、新聞懸賞小説の入選、尾崎士郎との出会いと同棲、 東郷青児、…

『風花』 川上弘美

夫に恋人がいた。 離婚をほのめかされた。 わたしはいったい、どう、したいんだろう―――。 夫婦の間に立ちこめる、微妙なざわめき。 途方に暮れながらも、自分と向き合い、 夫と向き合い、少しずつ前へ進みはじめた、のゆり、33歳の物語。 すっかり主人公に…