2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『淋しいのはお前だけじゃな』 枡野浩一

振り向いてくれたけれども 「がんばれ」 はたぶん自分に言った言葉だ――。 残業続きで恋人に会えない夏の日々、文芸部の美少女と何も起こらなかった高校時代、 今も発熱し続ける叶わなかった夢…。 短歌の背後にはいつも、淋しくて優しいストーリーがあった。 …

『こころ』 夏目漱石

親友を裏切って恋人を得たが、親友が自殺したために罪悪感に苦しみ、 自らも死を選ぶ孤独な明治の知識人の内面を描いた作品。 鎌倉の海岸で出会った “先生” という主人公の不思議な魅力にとりつかれた学生の眼から 間接的に主人公が描かれる前半と、後半の主…

『木曜組曲』 恩田陸

耽美派小説の巨匠、重松時子が薬物死を遂げてから4年。 時子に縁の深い女たちが今年もうぐいす館に集まり、彼女を偲ぶ宴が催された。 ライター・絵里子、流行作家・尚美、純文学作家・つかさ、編集者・えい子、 出版プロダクション経営の静子。 なごやかな…

『パラレル』 長嶋有

妻の浮気が先か、それとも僕の失職が原因か? ともあれ僕は、会社を辞め離婚した。 顔面至上主義のプレイボーイ津田と、別れてもなお連絡が来る元妻、そして新しい恋人…。 錯綜する人間関係と、男と女の行き違いを絶妙な距離感で描く長嶋有初の長篇。 斬新な…