『冬の標』 乙川優三郎
幕末、小藩の大番頭の娘・明世は南画の自由な世界に魅せられるが、 世間の仕来りは女子が絵を描くことを許さない。 結婚して夫と姑に仕えることを強いられた二十年を経て、明世はついに 自らの情熱を追う決心をする―――。 封建の世に真の自立の道を歩もうとする 一人の女性の、凄まじい葛藤と成長を描いた感動長編。
読みたい本がたくさんあるのに のろのろ読書で全然すすまないので、
最近はサクサク読み進めるように心がけていたのですが。
この作品は 速く読むのを完全にあきらめて 文章ひとつひとつ味わっちゃいました。。
作品の空気が静かで心地よく。
読みとばすなんてもったいないです。(←誰も読みとばせなんて言ってない^^;)
2~3日 本が読めない日があっても この世界に浸ったままでした。
(なぜか夢にも出てきたりして(^_^;) もちろん私は絵なんて描けない小市民なんですけど(笑))
浸りすぎて 自分が現代を生きているのが不思議にすら感じます。。(←バカ^^;?)
美的センスはゼロなので 絵についてのことはよくわからないのだけれど、
そんな私が読んでも、やっぱり彼女のもつ熱意は 心の奥のほうまで届きます。
師が彼女に言った言葉。
“憂鬱な日は、憂鬱を描けばいい”
画家として、絵に憂鬱を込めるっていう作業はとても難しいのかもしれません。
自分自身も (私の場合は仕事に憂鬱を現したらダメだろうけど(笑))
あるがままの自分を受けいれて、焦ったりイライラしたりせずにいたいものだなぁと思ったのでした。。
受けいれることに力が必要な状態って きっとダメなんだと。
するっと入っていく感じで受けいれられるといいんでしょうねぇ。。難しいですが。
最後のほうで表紙の絵の意味がわかったとき、目頭が熱くなりました(T-T)
強く誠実に生きること。
登場人物みんながまっすぐで、それぞれの生き方が心に響きました。
毅然とした 芯の通った 強い女性。 憧れます。。。