『まひるの月を追いかけて』 恩田陸
異母兄が奈良で消息を絶った。 たったの二度しか会ったことがない兄の彼女に誘われて、私は研吾を捜す旅に出る。 早春の橿原神宮、藤原京跡、今井、明日香…。 旅が進むにつれ、次々と明らかになる事実。それは真実なのか嘘なのか。 旅と物語の行き着く先は―――。 恩田ワールド全開のミステリーロードノベル。
奈良に行ってみたくなりましたー。 主人公が歩いたとおりにまわってみたい★
この本に出てくる名所旧跡の話だけでも
十分ガイドブックの役割を果たしているような気がします(^^)
作品中で 奈良は “一人でも平気な、守られた場所” “月が似合う場所” と描かれていたので
ひとりで行ってみようかなー?? と♪ (←影響されやすい人。。^^;)
ミステリーなんだけれど、謎が解きあかされた!!という結末ではなく
少しの謎と余韻を残して終わっています。。
(3冊しか読んでないけれど、こういうのがたぶん恩田さんの作風なんでしょうね)
個人的に 結末がハッキリしないものは 苦手だったりするのですが
それでも手に取ってしまうのは 作品中の空気が好きだからなのかもしれません。
女性2人の会話も、深いところまで行きそうで行かず
するっとかわされているような感じ。
そういうのも このミステリーの楽しいところなのかもしれません。
ねじれた親子関係、愛する人への依存、夫や恋人を失った喪失感
この作品に描かれているものは 人間の暗い闇のような部分だったりするのだけれど
奈良ののどかな風景や恩田さんのもつ空気が 生々しさを包みこむような感じで
やわらかく描かれています。
主人公の静が旅で見つけたものは、自分自身の気持ちだった。
行った先で新しいものに触れて、それをきっかけに自分自身の心に触れる
旅ってそういうものなのかもしれませんね(o^_^o)