『いつか王子駅で』 堀江敏幸
背中に昇り龍を背負う印鑑職人の正吉さんと、偶然に知り合った時間給講師の私。 大切な人に印鑑を届けると言ったきり姿を消した正吉さんと 私が最後に言葉を交わした居酒屋には、土産のカステラの箱が置き忘れたままになっていた…。 古書、童話、そして昭和の名馬たち。 時のはざまに埋もれた愛すべき光景を回想しながら 路面電車の走る下町の生活を情感込めて描く長編小説。
普段はパラパラとページをめくってから本を買うのですが
これはタイトルが気になって (なぜ王子駅?!と。。) すぐに買ってしまいました。
表紙にも惹かれ・・(ジャケ買いってやつ?)
この人の本は初めてだったので 最初の文を読んでびっくり。。。
ひとつの文章が長い。。。!
でもその独特な文章で表現される世界は 不思議と心地よかった。
ゆるゆると 落ち着いた気持ちで
のんびり読めました。(←ただ読むのに時間がかかっただけとも言う^^;)
翻訳や家庭教師をして暮らしている主人公は
“毎日やるべきことが決まっている生活のほうが充実してるんじゃないか”
なんて思ったりしていて 厭世的な感じも受けるけれど、
決してそうではなくて 生活の中の小さなひとつひとつの出来事を楽しんでいます。
大きな事件が起こるわけでもなく 日記を読んでいるような感じですが
ちょっとしたことが綺麗に描かれていて 素敵な作品でした。
都電に乗ってみたくなりました☆
私は競馬が全くわからないのですが、馬が好きな人が読んだら
かなりおもしろいのかも・・?^^
そういえば。
カステラを置き忘れて以来 正吉さんはどこで何をしていたのだろう?
最後にひょっこり戻ってくるのかと思っていたら 戻ってきませんでした^^;
気になって仕方ありません(笑)