『三月は深き紅の淵を』 恩田陸

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  鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に2泊3日の招待を受けた。

  彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、

  その屋敷内にあるはずだが、10年以上探しても見つからない稀覯本

  『三月は深き紅の淵を』 の話。

  たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された本をめぐる 珠玉のミステリー。




なんというか、飲み込まれました。。



「幻の本」 をめぐる 4つの物語。

本書は4章構成なのですが、作品中の 「幻の本」 も4章から成っており

話の内容自体もどこかつながっている感じで、その二重構造がおもしろいです。



構成はこんな感じです。


  本書
   『第1章 待っている人々』
   『第2章 出雲夜想曲
   『第3章 虹と雲と鳥と』
   『第4章 回転木馬

  作中に登場する幻の小説 (←この小説のタイトルも 『三月は深き紅の淵を』 )
   『第1章 黒と茶の幻想
   『第2章 冬の湖』
   『第3章 アイネ・クライネ・ナハトムジーク
   『第4章 鳩笛』


複雑… ですよね…(^^;)





不思議な世界でした。なんだか夢を見ているような。。特に第4章は。。。。



第4章は 小説を書こうとしている作家の話なのですが、

寝台列車で旅をしている 「彼女」(=作家??) と

“三月の国” という夢の中のような場所で不思議な経験をする 「少女」 が

入れ代わり立ち代わり登場し、まさに回転木馬。。。

どれが現実でどれが虚構なのかという区別さえ曖昧で (…って私が曖昧なだけ^^;?)

読んでいるうちに 何がなんだかわからなくなってアワワワワ…(`_´;) となりました(汗)




第4章がこの本の真骨頂なのだろうけれど、私は第1章が一番好きですねぇ。

(真骨頂=アワワワ…だったし(笑))


時間が経ってからもう一度読み返してみたい作品です。

(次回はアワワワ…とならずに読み切りたい(笑))






読書に対する姿勢というか、読書に対する考え方というか、

どういう風に本に接してきたかとか、本に対する想いとか、、、

恩田陸さんの 「本」 に対する色々が詰まっているような感じで、

へぇー へぇぇぇーー って (特に第1章は) にやけながら読んでました(笑)

本が好きな人はきっと 感じるモノがあると思います(o^_^o)







本書の第4章は 『麦の海に沈む果実』 というタイトルで長篇小説になっているそうです。

そして作中小説の第1章も 『黒と茶の幻想』 (同名) で長篇になっているのだとか。

この2冊もぜひ読んでみたいと思います。