『私たちが好きだったこと』 宮本輝
シズカニ、シノゲルトオモウ
工業デザイナーを目ざす私、昆虫に魅入られた写真家のロバ、 不安神経症を乗り越え医者を志す愛子、美容師として活躍する曜子。 偶然1つのマンションで暮らすことになった4人は 共に夢を語り、励ましあい、2組の愛が生まれる。 しかし、互いの幸せを願う優しい心根が苦しさの種をまき、 エゴを捨てて得た究極の愛が貌を変えていく………。 無償の青春を描く長編小説。
登場人物4人のうち 女性2人は(私と同じ!)27歳。 男性2人は31歳。
「青春」っていう割には そんなに若くないですよね(笑)
男女4人の共同生活 おもしろそうだなぁ~ なんて思って
軽い気持ちで読み始めたのですが けっこう重かった(^^;
恋愛の問題や親子の問題、仕事の問題、それに加えて常にお金の問題がつきまとっていて
登場人物はそれぞれ魅力ある楽しい人たちなんだけれども
それぞれの人生は 苦しいような 切ないような 哀しいような。。。複雑。
でも、生きていくことはたぶんこういうことなんだなぁ。きっと。
私たちが生きる環境は色々な要素から複雑にできていて
何か1つ問題が解決したらオッケーってことじゃないんですよねぇ。当たり前ですが。
「シズカニ、シノゲルトオモウ。」
これは女性の裏切りを許そうとする男性の言葉です。
電報で送られてくるのですが、この電報を読んだ女性は100%惚れるんじゃないかしら♡(笑)
何があっても、静かにしのぐこと。
なかなかできないことかもしれない。と思いました。
「耐えること」 や 「我慢すること」 とは違う感じがして。
強く相手を想う気持ちや嫉妬・・その他色々な感情は、簡単に抑えられないですし。。
何が起こっても “静かにしのげると思う” と 思えるような
心の 「のりしろ」 を常にもっていたいものです。
もう1つ印象に残った言葉
「まったく、人間てやつは大人になるのに時間がかかる。それなのに、少年は老い易い。」
まさに・・私のこと?!と思ってしまいました(^^;
あっと言う間に年を重ねているのに 大人にはなりきれていない。。
10年以上前の作品なのに、
やっぱり同世代の人たちは同じようなことで悩んだり苦しんだりしているんだなぁと
読み終わってから なんだかしみじみ浸ってしまいました。
でも、公衆電話に走る場面にはどうしても違和感を感じますね(笑)
映画化されていたって知りませんでした~。DVD探してみよーっと☆