『いとしい』 川上弘美
「好きになるということは、好きになると決めること」 母性より女性を匂わせる母と、売れない春画を描く義父に育てられた姉妹ユリエとマリエ。 温かく濃密な毎日の果てに、二人はそれぞれの愛を見つける。 高校教師になった妹マリエは 教え子・ミドリ子の兄と恋に落ちるが、 ミドリ子の愛人は母の恋人だった…。 芥川賞作家が描く、傑作恋愛小説。
これ↑を読むと 昼ドラの泥沼みたいなものを想像してしまうけど(^^;
読んでみるとそんな雰囲気じゃないのが不思議。
ストーカー、売春、近親相姦
本の内容をこういう言葉で表すこともできるけれど そんなに俗っぽくないんですよね。。。
こういう言葉で表すのは なんか違うような。
短編を読んだときにも感じたフワフワ感が この長編小説でもずっと感じられました。
内容もなんとなく不安定な感じで
体の一部がねじれたり、体が膜に包まれてしまったり
不思議なことがたくさん起こるけれど
不思議すぎないというか そもそも全体が不思議な世界なので奇抜ではないというか・・
何といえばいいのかわからないけど^^;
私はフィクションがかなり苦手で
映画をみていても、ありえないことが起こると 一気にひいてしまうようなところがあって
(きっと想像力が乏しいんでしょうね・・)
この本も、最初に耳がねじれた場面では “?!?!Σ( ̄△ ̄;)” という状態に
なりかけましたが(笑) でも、どんどんこの不思議な世界にひきこまれ
フワフワしている文章を読みながら
ユラユラしている登場人物たちを見守りながら
心地よさすら感じる自分自身がまた不思議に思えたり(^^)
膜に包まれて休眠してしまったり、ねじれてしまったり
体が変化するのと同じように 人間の気持ちも変化するわけで。
そういう変化も受けいれて丸ごと愛そうと決心することが 『好きになること』 なのかなぁ?